令和5年度税制改正の大綱等において、NISA(非課税投資制度)の拡充・恒久化が発表されました。
改正された内容や、現行の一般NISA・つみたてNISAからの変更点、また現在つみたてNISAにて資産運用中の筆者目線での既にNISAを行っている人やこれから始める人の対策等をお伝えしていきます。また、わかりやすく解説するために極力シンプルにお伝えしていくため専門家から見たら説明不足と思われるかもしれませんがご了承ください。
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新NISAは無期限で最大1800万円まで投資可能
まずは、2024年スタートの新NISAのポイントを抑えましょう
②成長投資枠とつみたて投資枠があり併用可能
③期間合計で最大1,800万円まで投資可能
④成長投資枠は1,800万円の内1,200万円までは上場株式への投資可能
⑤つみたて投資枠は年間で120万円まで投資可能
⑥成長投資枠は年間で240万円まで投資可能
ここからは各ポイントについて詳しく解説していきます。
➀制度期間・非課税保有期間が無期限
まずは、制度を利用できる期間が無期限になります。現行の一般NISAは2023年まで、つみたてNISAは2042年までと期間が定められていました。この期間が無期限になることにより、投資での資産形成において強い武器になる「時間」を味方につけることが出来ます。
特に、若いうちから投資をスタートさせることにより少ない月額でも資産形成をすることが可能となります。
非課税保有期間の無期限化についても現行の一般NISAは5年間・つみたてNISAは20年間と決まっていました。
特に現行の一般NISAでは5年後に株価が下がっていた場合、一般口座or特定口座に株が移管されます。更に購入した時点の価格ではなく移管されるタイミングの時価が購入価格となってしまい、価格が購入時と同じになってから売却しても利益が出ていないのに課税だけされてしまうというデメリットが発生します。新NISAでは保有期間が無期限の為、株価が回復するまで保有を続けるor損切を行い別の銘柄を購入するといった戦略を立てることが可能です。また、NISAは売却益だけでなく配当金や分配金も非課税となるため人生100年時代といわれるこの時代に、株や投資信託を保有し続けて老後の生活資金の足しにするという計画も可能になります。
②成長投資枠とつみたて投資枠があり併用可能
新NISAには成長投資枠とつみたて投資枠があります。
詳しくは後述しますがポイントとしては
つみたて投資枠=つみたてNISA(積立・分散投資に適した投資信託)
③期間合計で最大1,800万円まで投資可能
この改正もかなりのポイントです。
現行の一般NISAでは年間120万円・5年間で最大600万円、つみたてNISAでは年間40万円・20年間で最大800万円の上限があります。ここが最大で1,800万円と1,000万円以上の大幅増額となります。
④成長投資枠として1,800万円の内1,200万円までは上場株式への投資可能
上記の1,800万円にもルールがあります。下記がルールのポイントです。
つみたて枠は年間上限120万まで
成長投資枠は年間上限240万円まで
最大投資枠は売却すれば枠を再利用可能
成長投資枠は合計1,200万円まで
この金額はあくまで上限であり必ず行わなければいけない訳ではありません。投資スタイルは人それぞれなので「つみたて枠で1,800万円使い切る」であったり「つみたて枠1,700万円成長投資枠100万円」といった感じで自由な運用方法を選べます。
つみたて枠は年間上限120万円まで、成長投資枠は年間上限360万円まで
更に言うと、このつみたて金額に関してもいつでも変更可能なため、引越しや出産、子供の進学等で出費が増えた場合にはつみたて金額を低く変更して対応する事も可能です。
制度の利用期間が無期限のため、現在の自身の年齢やいつまでにいくらくらい積立てたいか、またその金額が現実的か等を総合的に判断し、まずは気軽に始めてみるのがおすすめです。
最大投資枠売却すれば枠を再利用可能
最後のポイントに関しても、このNISAを上手く使いこなすポイントとなります。
ここは分かりやすく、例を挙げてみたいと思います。
■2年目にcome8ファンドが200万円に増えたため売却(もちろん利益100万円は非課税)
■この時投資可能枠が1,700万円→1,800万円に復活(取得価格ベースで計算される)
○最大で1,800万円分は非課税枠を持っている
この仕組みを活用すれば、新NISA制度にて資産運用中にまとまった金額が必要になった場合でも
持っている投資信託や株を売却して対応する事が可能です。
注意点としては
➀時価が取得額を下回っている場合(損をしている)は非課税メリットを享受できない
②大きい金額を売却し、その後再投資する場合は年間の上限投資枠にひっかかる
新NISAは現行の制度との併用が可能
では現在、つみてたNISAにて運用をしている人はどうすればいいのでしょうか??
あくまで筆者の考えではありますが、「慌てずそのままにしておく」です。
なぜかと言うと、新NISAと現行NISAは併用可能・投資可能枠も別枠だからです。
もちろん2024年以降に新しく現行NISAに投資する事はできませんが特に2018年に開始したつみたてNISAの場合は非課税期間が20年間とまだまだ残っている為今後投資先が成長する可能性も高く、新NISAと併用してもデメリットが無いためそのまま保有しておくのが定石と考えています。
実際筆者も現在つみたてNISAにて年間40万円の積立を行っていますが、これについての今後の戦略はつみたてNISAを始めた時の気持ちをそのままに、いい意味での「放置」する予定です。
※もちろん新NISAでも投資を行うため市場動向や時価・出口戦略は常に考え発信していきます。
新NISAにもデメリットやリスクはもちろんある
筆者が知人とつみたてNISAの話をしているとデメリットやリスクは無いの??と聞かれる事があります。これに関しては御幣をおそれずに言うともちろん存在します。筆者の考えではこの世にデメリットやリスクのない事は無く、デメリット・リスクの大小・自分でどこまでコントロールできるか、自分の人生においてどこまでリスクを飲めるか。だけの話だと思ってはいますが、ここではよく聞かれる「普通に運用した方が良いケースは無いの??」「損するんじゃないの??」の2点について解説していきます。
まず「普通に運用した方が良いケースは無いの??」について言えば、新NISAを選ぶデメリットとしては2つ挙げられます。1つ目は「NISA口座で購入できる投資商品が少ない」事が挙げられます。特につみたて枠に関しては数ある投資信託の中から金融庁が厳選した商品のみ購入可能です。選定基準としては
長期の積立・分散投資に適した一定の投資信託
公募株式投資信託の場合、以下の要件をすべて満たすもの・販売手数料はゼロ(ノーロード)
・信託報酬は一定水準以下(例:国内株のインデックス投信の場合0.5%以下)に限定
・顧客一人ひとりに対して、その顧客が過去1年間に負担した信託報酬の概算金額を通知すること
・信託契約期間が無期限または20年以上であること
・分配頻度が毎月でないこと
・ヘッジ目的の場合等を除き、デリバティブ取引による運用を行っていないこと
引用元:金融庁 つみたてNISAの概要
つまり、そもそもリスクの高い商品は選べなくなっています。
投資元本が減る可能性が高くてもギャンブル性の高い大儲けできそうな銘柄に投資したい!!
という人には不向きです。
二つ目のデメリットとしては、新NISA口座にて損をしていて、他の口座の金融商品で利益が出ている場合でも損益通算が出来ないという事です。また、難しい話になるので今回は言及しませんが損失を3年間繰り越してその間の利益と相殺できる繰越控除も利用できません。
「損」というワードがつづいていますが、ここがよく言われる「損するんじゃないの??」に通ずる部分ですが、新NISAにて購入する商品は全て元本保証がない金融商品のためもちろん元本が減る場合もあります。そこに関しては個人のリスクへの考え方によるので何とも言うことが出来ず、あくまで筆者の戦略ではありますが、リスクがある中でも損失を出しにくいと言われている「インデックスファンドへの長期積立」を選択しています。
長くなりましたが、デメリット・リスクのまとめとしては
■元本割れの状態では新NISA口座は他の口座よりも不利
今何も投資をしていない人はどうすればいいの?
岸田内閣の増税ニュースや昨今の値上げラッシュの中、将来に不安を抱えて生活を送っている人も多いと思います。おそらくこの記事の読者もこの記事にたどり着いているからには投資や新NISAに興味はあるのだと思います。
日本証券業協会によると2022年9月30日時点の現行NISA口座開設数(一般NISAとつみたてNISA合算)は1,144万件となっている。もちろんNISA口座以外で資産運用を行っている人も居るとはおもうが、約6700万人の就業者数の内実際にNISA制度を活用している人は17%程度しかいない。
なので、まったく焦る必要もないと筆者は考えており、実際知人に聞かれた時の回答としては「やるやらないは別としてとりあえず口座開設だけしておく」です。
馴染みのない人には以外かもですが、ネット証券であれば口座開設や維持費等は一切かからないのです。口座開設をしておけば、投資商品をゆっくりみたり、始めたくなったらすぐ始められるのでまずは誰でも出来るノーデメリットの第一歩として口座開設をお勧めします。
以上、参考になればうれしいです。随時情報発信は行っていきますので是非ブックマークをお願いします。